kaninome’s diary

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逆三角関数

 こんにちは!蟹の目です。
今回は三角関数逆関数である逆三角関数について書いていこうと思います。
今後、何度も見ることになる関数ですのでどんなものなのか理解していきましょう。

 

 

今回の話題

  1. 狭義の単調関数
  2. 三角関数の連続性
  3. 逆三角関数とは

 

 みなさん、三角関数については知っていますね。
sinとかcos,tanのやつです。この子たちの逆関数を考えたものが今回の話題である逆三角関数になります。
 ここで、逆関数について学んだことのあるみなさんは不思議に思ったはずです。
だって、逆関数xとyが一対一の関係、すなわちxを1つ決めればyが1つに決まり、yの値を1つ定めればそれに対応するxも1つに決まるときに定義されるものでした。
 だけど、三角関数って周期関数ですよね?普通なら逆関数が定義されません。
これを解決するのが定義域の設定です。

 

 

狭義の単調関数

 一度話を変えて狭義の単調関数というものについて記したいと思います。
みなさん、単調増加や単調減少という言葉を聞いたことがありませんか?
関数f(x)に対して[x1<x2⇒f(x1)≦f(x2)]これが成り立つときf(x)は単調増加関数といい、
逆に[x1<x2⇒f(x1)≧f(x2)]これが成り立つときf(x)は単調減少関数といいます。これらをあわせて単調関数と呼んだりします。
(高校までの数学でも何度かお目にしたことがあると思います。)

 では、狭義ってなんでしょう?答えは簡単で、不等号から=が消えたやつが狭義の関数になります。ただの単調関数では=がついていることから分かるように、関数のグラフが平のところがあっても良いのです。しかし、狭義の場合は平のところすらなく、増え続けるか減り続けています。これを狭義単調増加関数狭義単調減少関数といい、これらをあわせて狭義の単調関数といいます。

 

 なぜこんなものを急に記したかというと、閉区間内で狭義の単調関数である連続関数f(x)には逆関数が存在するからです。y=f(x)のグラフを書いてみればわかりますが、f(x)が同じ値をとることがありません。つまり、yを1つ決めるとそれに対応するxもただ1つに決まります。だから、このf(x)には逆関数が存在するのです。

 

 

三角関数の連続性

 さて、話を三角関数に戻しましょう。

まず、三角関数が連続かどうか調べてみましょう。
sinxがx=aで連続かを調べればsinxが連続関数かわかりますね。

ε>0をとると
|x-a|<δ=εのとき
|sinx-sina|=2|{cos(x+a)/2}{sin(x-a)/2}| (∵三角関数の加法定理)
      ≦2|sin(x-a)/2|
      ≦2{|x-a|/2}=|x-a|<ε (∵|sinx|≦|x|) ◾️

 これでsinxの連続性が示せましたね。ちなみに
cosx=sin(x+π/2)であることからcosxはsinxと(x+π/2)の合成関数であることがわかるのでcosxは連続ですね。また、tanx=sinx/cosxからtanxも定義域内で連続であることがわかりますね。

 

 

三角関数とは

 次に狭義の単調関数かをみてみましょう。
三角関数は確かに周期関数なのですが、定義域を設定するとその定義域内で狭義の単調関数になります。
 例えばy=sinxにおいて
定義域を(-π/2≦x≦π/2) すなわち[-π/2,π/2]とすると-1から1まで増え続ける狭義の単調増加関数になりますよね。

 このような定義域のsinxは狭義単調増加関数であり連続なので逆関数が存在します。
このような状況のsinxの逆関数逆正弦関数といい、y=sin-1xで表します。
(読みは”アークサイン”です)

 逆関数であるから
y=sin-1x (-1≦x≦1)⇔x=siny (-π/2≦y≦π/2)
が成り立ちます。

 同じように、cosxについても考えてみましょう。
cosxも周期関数ですが、定義域を(0≦x≦π)すなわち[0,π]とすると1から-1まで減り続ける狭義の単調減少関数になります。

 このような定義域のcosxは狭義単調減少関数であり連続なので逆関数が存在します。
このような状況のcosxの逆関数余弦関数といい、y=cos-1xで表します。
(読みは”アークコサイン”です)

 sinxと同じように逆関数なので
y=cos-1x (-1≦x≦1)⇔x=cosy (0≦y≦π)
が成り立ちます。

 何そもしつこいようですが、最後にtanxについても考えてみましょう。
tanxも同様に周期関数ですが、定義域を(-π/2<x<π/2)すなわち(-π/2,π/2)とすると
(tanxはx=±π/2で定義されないことに注意してください)
-∞から+∞まで増え続ける狭義の単調増加関数になります。

 このような定義域のtanxは狭義単調増加関数であり連続なので逆関数が存在します。
このような状況のtanxの逆関数を逆正接関数といい、y=tan-1xで表します。
(読みは”アークタンジェント”です)

 逆関数なので
y=tan-1x (-∞<x<∞)⇔x=tany (-π/2<y<π/2)
が成り立ちます。

 

 

 

 以上が逆三角関数の説明になります。文字ばかりでわかりにくいところもあると思いますが、次回以降簡単な問題を書く予定ですので、そちらを解いて理解してもらえたらと思います。一緒に逆三角関数について理解できるよう頑張りましょう。

また次回!!!

極限の演習問題2

 こんにちは!蟹の目です。
今回は前回に引き続き関数の極限値を求める問題をいくつか解いていこうと思います。
今まで示した式を使って解いていくので、そっちの使い方もあわせて理解しちゃいましょう。

 

 

今回の問題

  1. (x2-1)/(x3-1)→? (x→1)
  2. {√(x2+x+1)-x}→? (x→∞)
  3. sin3x/x→? (x→∞)
  4. (1+x+x2)1/x→? (x→0)
  5. {x2sin(1/x)}/sinx→? (x→0)

 

 

 

1. (x2-1)/(x3-1)→? (x→1)

 (x2-1)/(x3-1)={(x+1)(x-1)}/{(x-1)(x2+x+1)}
        =(x+1)/(x2+x+1)

 よって
(x2-1)/(x3-1) (x→1)=(x+1)/(x2+x+1) (x→1)
         →(1+1)/(1+1+1)=2/3 ◾️

 

 

2. {√(x2+x+1)-x}→? (x→∞)

 {√(x2+x+1)-x}={(x2+x+1)-x2}/{√(x2+x+1)+x}
        =(x+1)/{√(x2+x+1)+x}

 よって
{√(x2+x+1)-x} (x→∞)=(x+1)/{√(x2+x+1)+x} (x→∞)
           =(1+1/x){√(1+1/x+1/x2)+1} (x→∞)
           →1/(1+1)=1/2 ◾️

 

 

3. sin3x/x→? (x→∞)

 -1≦sin3x≦1であるから
-1/x≦sin3x/x≦1/x

 はさみうちの定理から (∵±1/x→0 (x→∞))
sin3x/x→0 (x→∞) ◾️

 

 

4. (1+x+x2)1/x→? (x→0)

 (1+x+x2)1/x=yとおく

 logy=(1/x)log(1+x+x2)
{(1/x+x2)log(1+x+x2)}(1+x)→1であるから
logy→1(x→0)

すなわちy→e ◾️

 

5. {x2sin(1/x)}/sinx→? (x→0)

{x2sin(1/x)}/sinx=(x/sinx)*xsin(1/x)

 ここで
0≦|xsin(1/x)|≦|x|であるから
はさみうちの定理から
xsin(1/x)→0 (x→0)

 また
x/sinx→1 (x→0)であるから

{x2sin(1/x)}/sinx (x→0)=(x/sinx)*xsin(1/x) (x→0)
          →1*0=0 ◾️

 

 

 今回の問題はどうだったでしょうか?
今回解いた問題もサイエンス社の「微分積分概論[新訂版]」に載っています。
これまで示した式をいくつか使いましたね。0/0の形から変形をして極限を求められるようにする必要がありますね。今回はそれほど難しい問題ではありませんが、今後難しい極限も求められるように一緒に頑張りましょう。

また次回!!!

極限の演習問題1

 こんにちは!蟹の目です。
今回は今まで学んだことを使って、いくつかの極限の問題を解いていこうと思います。
また、ただ極限を求めるときはいちいちε-δ論法を使わずに求めます。

 

今回の問題

  1. √(n+1)-√n→? (n→∞)
  2. (n2+5n+10)/(2n2-2n+1)→? (n→∞)
  3. cos(nπ)/n→? (n→∞)
  4. nsin(π/n)→? (n→∞)
  5. {1-1/(n+1)}n→? (n→∞)
  6. (1-1/n2)n→? (n→∞)

 

 

1. √(n+1)-√n→? (n→∞)

 √(n+1)-√n
={(n+1)-n}/{√(n+1)+√n}
=1/{√(n+1)+√n}

 よって
√(n+1)-√n (n→∞)=1/{√(n+1)+√n} (n→∞)
        →0 ◾️

 

 

2. (n2+5n+10)/(2n2-2n+1)→? (n→∞)

 (n2+5n+10)/(2n2-2n+1)
=(1+5/n+10/n2)/(2-2/n+1/n2)

 よって
(n2+5n+10)/(2n2-2n+1) (n→∞)=(1+5/n+10/n2)/(2-2/n+1/n2) (n→∞)
              →1/2 ◾️

 

 

3. cos(nπ)/n→? (n→∞)

-1≦cosθ≦1であるから
-1/n≦cos(nπ)≦1/n

 当然±1/n→0 (n→∞)であるから
はさみうちの定理から

cos(nπ)/n→0 (n→∞) ◾️

 

 

 

4. nsin(π/n)→? (n→∞)

m=1/nとおく
n→∞⇒m→0

 よって
nsin(π/n) (n→∞)=sin(πt)/m (m→0)
        ={sin(πt)/πt}π (m→0)
        →1*π=π ◾️

 

 

5. {1-1/(n+1)}n→? (n→∞)

{1-1/(n+1)}n={n/(n+1)}n
      ={(n+1)/n}-n
      ={(1+1/n)n}-1

 よって
{1-1/(n+1)}n (n→∞)={(1+1/n)n}-1 (n→∞)
         →e-1=1/e ◾️

 

 

 

6. (1-1/n2)n→? (n→∞)

(1-1/n2)n={(n2-1)/n2}n
    ={(n+1)/n}n*{(n-1)/n}n

    =(1+1/n)n*(1-1/n)n

 t=-nとおく
(1-1/n)n (n→∞)={(1+1/t)t}-1 (t→-∞)
         →e-1=1/eであるから

(1-1/n2)n (n→∞)=(1+1/n)n*(1-1/n) (n→∞)
       →e*(1/e)=1 ◾️

 

 

 

 今回の問題はどうだったでしょうか?
今回解いた問題はサイエンス社の「微分積分概論[新訂版]」に載っているので、この本を持っている方にとっては解答例になることでしょう。どちらにせよ、今回のような問題をその場で解けるように極限を頑張っていきましょう。
 次回も今回同様問題を解く予定ですので、一緒に極限を理解しちゃいましょう。

また次回!!!

知っておきたい関数の極限2

 こんにちは!蟹の目です。
今回は前回に引き続き、覚えておいてもらいたい関数の極限をいくつか紹介したいと思います。今回紹介する式も今後極限を求める際に当たり前のように使用するものなので、ぜひ、覚えていってください。
 前回の記事も載せておくので、よければこちらも覚えてください。
知っておきたい関数の極限1 - kaninome’s diary

 

今回の話題

  1. log(1+x)/x→1 (x→0)
  2. (ex-1)/x→1 (x→0)

 

 

1. log(1+x)/x→1 (x→0)

 この式を示すためには対数関数(logx)がx=eで連続である必要があります。
ここで皆さんに、指数関数と逆関数について記したいと思います。
(ここではこれらについて証明はしませんが、成り立つことを認めてください。)

(ⅰ)指数関数は連続である
 y=axのxが整数のとき、皆さんその値を求めることができると思いますが、
xが無理数のときなどは値を求めることができないでしょう。
ただ、指数関数の定義から、y=axが連続であることが認められています。

(ⅱ)元の関数が連続なら、逆関数は連続である
 これも逆関数の定義から成り立ちます。

逆関数

y=f(x)においてx=g(y)で表せるとき、xとyを入れ替えて
y=g(x)としたものをy=f(x)の逆関数といい、f-1(x)で表します。

指数関数の逆関数は対数関数であり、
y=ex逆関数はy=logxになります。

これらの事実から式を示していきましょう!

log(1+x)/x=log(1+x)1/x
(1+x)1/x→e (x→0)であるから
log(1+x)1/x→loge (x→0)
     =1 ◾️

 

 

 

2. (ex-1)/x→1 (x→0) 

 ex-1=tとおく
x=log(1+t)であり
x→0のときt→0であるから(∵ex→1 (x→0))

(ex-1)/x=t/log(1+t)
1で示したことより、
(ex-1)/x (x→0)=t/log(1+t) (t→0)
       =1 ◾️

 

 

 今回の話題はどうだったでしょうか?
示した式自体はそこまで難しくないですが、対数関数や指数関数の連続なんかは今の知識では理解できないので、そうなんだーくらいに思ってもらえたらいいです。
 今後、今まで示した今回のような式を使って極限を求めることがあります。
次回からこれまでのことを踏まえた問題を解いていこうと思います。
極限のラストスパート頑張っていきましょう。

また次回!!!

知っておきたい関数の極限1

 こんにちは!蟹の目です。
今回は関数の極限を求めるのに知っておきたい極限の式をいくつか示したいと思います。知らなければ解けない問題に出くわすかもしれませんので、この機会にわかってもらえたらと思います。

 

今回の話題

  1. sinx/x→1 (x→0)
  2. (1+1/x)x→e (x→±∞)
  3. x√(1+x)→e (x→0)

 

 

 

1. sinx/x→1 (x→0)

このような図を考えます

 0<x<π/2とすると上図の△OAB,扇型OAB,△OACの面積を比較すると
△OAB=sinx/2, 扇型OAB=x/2, △OAC=tanx/2であるから
sinx/2<x/2<tanx/2
 よって
1<x/sinx<1/cosx
 すなわち
1>sinx/x>cosx
はさみうちの定理から(∵cosx→1 (x→0))
sinx/x→1 (x→+0)

これは、-π/2<x<0のときにも成り立つので、
sinx/x→1 (x→0) ◾️

 

 

 

2. (1+1/x)x→e (x→±∞)

 任意のx>1に対してn≦x<n+1を満たす自然数nをとる
(1+1/x)x≦(1+1/n)x<(1+1/n)n+1

(1+1/x)x>{1+1/(n+1)}x≧{1+1/(n+1)}nであるから

{1+1/(n+1)}n+1{1+1/(n+1)}-1<(1+1/x)x<(1+1/n)n(1+1/n)

 ここでx→∞とするとn→∞となり、はさみうちの定理から

(1+1/x)x→e (x→+∞)

 また、x→-∞のときはt=-xとおくとt→+∞であるから

(1+1/x)x={t/(t-1)}t
     ={1+1/(t-1)}t-1{1+1/(t-1)}
     →e*1=e (x→-∞)

よって(1+1/x)x→e (x→±∞) ◾️

 

 

 

3. x√(1+x)→e (x→0)

 x=1/tとおく
x√(1+x) (x→±0)=(1+1/t)t (t→±∞)
       =e (∵2の式) ◾️

 

 

 今回の話題はどうだったでしょうか?
今回示した式はいちいち証明しなくても使うような式たちです。ぜひ覚えてもらえればと思います。次回も今回同様、いくつかの極限の式について紹介しようと思います。

また次回!!!

中間値の定理

 こんにちは!蟹の目です。
今回は連続関数における定理、中間値の定理について書いていこうと思います。
この定理は、言っている事は当然のようでわざわざいう必要があるのか疑問に思う方もいるかもしれません。ただこの定理、数学的に示そうと思うと、これまで示してきたものより難しくなっています。
 そこで、ここでは、正しい記述よりも、中間値の定理が成り立つことを理解することに重きを置いて示していこうと思います。

 

 まず、この定理を示すために必要なものを記したいと思います。
f(x)をx=x0の近傍で定義したとき、x=x0で連続である時を考えます。

 

 早速、知らない言葉が出てきましたね。近傍ってなんじゃい!
近傍の正しい定義は他の分野で習うことになりますので、ここでは簡単に、

ε>0, A={x;|x-x0|<ε}となる集合をx0の近傍だと思ってください。
もちろん、εはどんな正の数もとりますが、ここではなるべく小さく、
要は、集合Aはx0付近の点の集合だと思ってもらえれば良いです。

 このとき、
(ⅰ)f(x0)>k⇒I(∋x0)[x∈I⇒f(x)>k] (Iは区間です)
(ⅱ)f(x0)<k⇒I(∋x0)[x∈I⇒f(x)<k] (Iは区間です)

 

(ⅰ) 

このような関数f(x)と定数kについて考えます

 k≠f(x)であることと、f(x)が連続であること、それに実数の連続性から上のようなIが必ず存在しますね。

 

(ⅱ) 

このような関数f(x)と定数kについて考えます

このような場合も(ⅰ)と同様Iが必ず存在しますね。

 この事実を中間値の定理を示すのに使います。
それでは、本題の定理を示していきましょう!

 

 I=[a,b] (有界区間) (←a≦x≦b)に対して
f(x)が定義域Iで連続であり、f(a)≠f(b)であるとき、任意の定数kに対して
f(a)<k<f(b) c∈(a,b)(←a<x<b) s.t. f(c)=k
またはf(a)>k>f(b) c∈(a,b) s.t. f(c)=k
(s.t.はsuch thatの略で、s.t.~は~であるような、という意味です。)

 これが中間値の定理です
要は、f(a)≠f(b)のときf(a)とf(b)の間にあるkという値になるcが、aとbの間にあるということです。

今回はf(a)<k<f(b) c∈(a,b)(←a<x<b) s.t. f(c)=kを示します。
(これが示せれば、同じようにもう一方も示せるので)

 f(a)<k<f(b)となるf(x)を考えます
このとき
E={x∈I;f(x)≦k}とおくと (Eは集合)
a∈EなのでE≠φ

ここで、c=supEとおくと (Eは有界なので、実数の連続性からsupEは存在します)

cが1つでも見つかればいいので、ここでは見つけやすい、グラフの1番右のcについて考えます。
上で示したことからa<c<bが成り立ちます。••①
 (∵f(a)<kかつf(x)はx=aで連続からx1∈I [f(x1)<k]
  f(b)>kかつf(x)がx=bで連続からx2∈I [f(x2)>k])

次にこのようなcはf(c)=kであることを示します。

 cの定義から
{xn}⊂E s.t. xn→c(n→∞)••②

 

cに収束するようなすべての項がEに含まれる数列



どんな数列かは分かりませんが、cに収束するE内の数列が存在します。

 このとき
f(xn)≦k (n=1,2,…)
よって、n→∞とすると②とf(x)の連続性から
f(xn)→f(c) (n→∞)≦k••③ 
(kはn→∞だろうとkですよね、それに極限をとっても大小関係は変わらないんでした。)

 一方
zn=c+(b-c)/n (n=1,2,…)となる数列{zn}を考えると

 

bとcの距離をn等分するような数列



(c<bなのでbとcの距離をn等分するような数列が考えられます)

zn∈I, zn∉E (n=1,2,…)
よって、k<f(zn) (n=1,2,…)
n→∞とするとzn→cであることと、f(x)の連続性から
k≦f(zn)→f(c) (n→∞)••④

 ③,④から
f(c)=k ◾️

 これが中間値の定理の証明になります。
a,bの大小関係が逆の場合も同じように示せます。


ちなみに、数学ではa=bを示すのにa≦bかつa≧bを示すことがよくあります。これを知っておくと便利です。

 

 

 今回の話題、中間値の定理はどうだったでしょうか?
なかなかに理解しづらい話だったと思います。図なども載せていますので、合わせて見てもらい、少しでも理解してもらえていれば、と思います。
(図が汚いのは許してください…)
 次回は、知っておきたい関数の極限の公式のようなものをいくつか紹介する予定ですので、関数の極限について頑張ってわかることを増やしていきましょう。

また次回!!!

関数の連続

 こんにちは!蟹の目です。
今回は関数の連続について書いていきたいと思います。高校までは出てくる関数がほとんど連続だったのであまり意識してきませんでしたが、今後は関数が連続であるかどうかが重要になってきますので、関数が連続であるとはどういうことなのか理解できるよう頑張りましょう。

 

今回の話題

  1. 関数が連続とは
  2. 区間って何?
  3. 連続関数の基本性質

 

 

1. 関数が連続とは?

 まず、関数が連続であることがどういうことか定義します。

f(x)→l(x→a)で、l=f(a)
これが成り立つとき、f(x)はx=aで連続であるといいます。

 数学記号を用いてより数学的に書くと、
ε>0, δ>0[|x-a|<δ⇒|f(x)-f(a)|<ε]
極限の定義から上が関数が連続であることを示すのが分かりますか?
 極限を定義したときは0<|x-a|<δだったのを覚えていますよね?
連続かを確認するときは、x=aで|f(x)-f(a)|=0<εが明らかに成り立つので、
0<は不要になっています。

 さらに詳しく連続を考えてみましょう。
f(x)→l(x→a)⇔f(x)→l(x→a+0)かつf(x)→l(x→a-0)
上の式を覚えていますか?
f(x)がx=aで極限がlであるとはf(x)のx=aに対する右側極限と、左側極限がそれぞれlになることと同値でしたね。連続も同じです。

f(x)→l (x→a+0)でl=f(a)のとき
f(x)はx=aで右連続といいます。数学的に書くと
 ∀ε>0, δ>0[0≦x-a<δ⇒|f(x)-f(a)|<ε]

また、f(x)→l (x→a-0)でl=f(a)のとき
f(x)はx=aで左連続といいます。数学的に書くと
 ∀ε>0, δ>0[0≦a-x<δ⇒|f(x)-f(a)|<ε]

そして、f(x)がx=aで右連続かつ左連続であることは、f(x)はx=aで連続であることと同値なのです。(|x-a|<δにx-a<δとa-x<δが含まれますよね。)
また、区間Xのすべての点で連続であるとき、f(x)は区間Xで連続であるといいます。

 定義からわかる通り、aに対応する点は必ずf(x)の定義域内にあります。
定義域外の点bではf(x)は連続になりません。

 

 

 

2. 区間って何?

 上でいきなり区間Xというものをいいましたが、区間とはなんのことでしょう。
ここでいう区間とは、次のような形の集合を総称したものになります。

  • [a,b]={x;a≦x≦b} (閉区間)
  • (a,b)={x;a<x<b} (開区間)
  • [a,b)={x;a≦x<b} (右半開区間)
  • (a,b]={x;a<x≦b} (左半開区間)
  • (-∞,∞)=R (全区間)

は端点を含み、()は端点を含みません

 上の定義で言えば、f(x)が閉区間X=[a,b]で連続であるとは、区間Xの端点aで右連続、端点bで左連続であれば良いです。

 今後、区間を表すときに(),を使うことがありますので、この表し方を知っておくと便利だと思います。

 

 

 

3. 連続関数の基本性質

(1) f(x),g(x)がx=aで連続であるならば、f(x)±g(x), f(x)g(x), kf(x), f(x)/g(x)もx=aで連続で     ある
(2) y=f(x)がx=aで連続, z=g(y)がy=f(a)で連続ならば、合成関数z=g(f(x))もx=aで連続である

 (1)についてはここでは証明を割愛します。
以前示した通り、関数の和,差,積,商の極限は極限値の和,差,積,商とそれぞれ等しくなるので、どの関数も連続になりますよね。

例: f(x)→f(a) (x→a), g(x)→g(a) (x→a)
  ⇒f(x)+g(x)→f(a)+g(a) (x→a)  これは連続を示していますよね。
他のも当然連続を示します

 

(2) これは、直感的には成り立つことがわかるかもしれませんが、少し丁寧に示してみたいと思います。

 そもそも合成関数が何かわかっていますか?
数Ⅲを勉強した方はわかると思いますが、一応ここでは合成関数がどんなものかをこれでもかというほど簡単に述べたいと思います。正しい理解にはならないと思いますので、正しく合成関数を理解したい方は各々合成関数について調べてみてください。

 合成関数

合成関数g(f(x))は2つの関数y=f(x), z=g(y)があり、f(x)の値域がg(x)の定義域に含まれているとき、g(y)のyにf(x)を代入して得られる関数のことです。

例: f(x)=x+1, g(x)=x2のとき
  g(f(x))=(x+1)2になるということです

 

 さて、元の話に戻りましょう。

y=f(x)はx=aで、z=g(y)はy=f(a)でそれぞれ連続なので、

ε1>0, δ1[|x-a|<δ1⇒|f(x)-f(a)|<ε1]
ε2>0, δ2[|f(x)-f(a)|<δ2⇒|g(f(x))-g(f(a))|<ε2]

 ε1は任意の正の数だからε12のときにもδ1は存在する
このとき
 |x-a|<δ1
⇒|f(x)-f(a)|<ε12
|g(f(x))-g(f(a))|<ε2

これは、合成関数z=g(f(x))がx=aで連続であることを示す ◾️

 

 

 今回の内容はどうだったでしょうか?
関数の連続の定義に関数の極限が含まれているので、結局ε-δ論法を使っていますよね?
今までやった実数の連続性や数列の極限、関数の極限に連続など、今後の数学を学ぶ上で必要不可欠なものになっていますので、順番に一つ一つ理解していきましょう。
 また、関数の連続は単にグラフがつながっているという認識だと、より複雑化した関数で連続かどうかを議論できなくなります。しっかり、数学的に関数の連続とはどういうことか理解しましょう。

また次回!!!