kaninome’s diary

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中間値の定理

 こんにちは!蟹の目です。
今回は連続関数における定理、中間値の定理について書いていこうと思います。
この定理は、言っている事は当然のようでわざわざいう必要があるのか疑問に思う方もいるかもしれません。ただこの定理、数学的に示そうと思うと、これまで示してきたものより難しくなっています。
 そこで、ここでは、正しい記述よりも、中間値の定理が成り立つことを理解することに重きを置いて示していこうと思います。

 

 まず、この定理を示すために必要なものを記したいと思います。
f(x)をx=x0の近傍で定義したとき、x=x0で連続である時を考えます。

 

 早速、知らない言葉が出てきましたね。近傍ってなんじゃい!
近傍の正しい定義は他の分野で習うことになりますので、ここでは簡単に、

ε>0, A={x;|x-x0|<ε}となる集合をx0の近傍だと思ってください。
もちろん、εはどんな正の数もとりますが、ここではなるべく小さく、
要は、集合Aはx0付近の点の集合だと思ってもらえれば良いです。

 このとき、
(ⅰ)f(x0)>k⇒I(∋x0)[x∈I⇒f(x)>k] (Iは区間です)
(ⅱ)f(x0)<k⇒I(∋x0)[x∈I⇒f(x)<k] (Iは区間です)

 

(ⅰ) 

このような関数f(x)と定数kについて考えます

 k≠f(x)であることと、f(x)が連続であること、それに実数の連続性から上のようなIが必ず存在しますね。

 

(ⅱ) 

このような関数f(x)と定数kについて考えます

このような場合も(ⅰ)と同様Iが必ず存在しますね。

 この事実を中間値の定理を示すのに使います。
それでは、本題の定理を示していきましょう!

 

 I=[a,b] (有界区間) (←a≦x≦b)に対して
f(x)が定義域Iで連続であり、f(a)≠f(b)であるとき、任意の定数kに対して
f(a)<k<f(b) c∈(a,b)(←a<x<b) s.t. f(c)=k
またはf(a)>k>f(b) c∈(a,b) s.t. f(c)=k
(s.t.はsuch thatの略で、s.t.~は~であるような、という意味です。)

 これが中間値の定理です
要は、f(a)≠f(b)のときf(a)とf(b)の間にあるkという値になるcが、aとbの間にあるということです。

今回はf(a)<k<f(b) c∈(a,b)(←a<x<b) s.t. f(c)=kを示します。
(これが示せれば、同じようにもう一方も示せるので)

 f(a)<k<f(b)となるf(x)を考えます
このとき
E={x∈I;f(x)≦k}とおくと (Eは集合)
a∈EなのでE≠φ

ここで、c=supEとおくと (Eは有界なので、実数の連続性からsupEは存在します)

cが1つでも見つかればいいので、ここでは見つけやすい、グラフの1番右のcについて考えます。
上で示したことからa<c<bが成り立ちます。••①
 (∵f(a)<kかつf(x)はx=aで連続からx1∈I [f(x1)<k]
  f(b)>kかつf(x)がx=bで連続からx2∈I [f(x2)>k])

次にこのようなcはf(c)=kであることを示します。

 cの定義から
{xn}⊂E s.t. xn→c(n→∞)••②

 

cに収束するようなすべての項がEに含まれる数列



どんな数列かは分かりませんが、cに収束するE内の数列が存在します。

 このとき
f(xn)≦k (n=1,2,…)
よって、n→∞とすると②とf(x)の連続性から
f(xn)→f(c) (n→∞)≦k••③ 
(kはn→∞だろうとkですよね、それに極限をとっても大小関係は変わらないんでした。)

 一方
zn=c+(b-c)/n (n=1,2,…)となる数列{zn}を考えると

 

bとcの距離をn等分するような数列



(c<bなのでbとcの距離をn等分するような数列が考えられます)

zn∈I, zn∉E (n=1,2,…)
よって、k<f(zn) (n=1,2,…)
n→∞とするとzn→cであることと、f(x)の連続性から
k≦f(zn)→f(c) (n→∞)••④

 ③,④から
f(c)=k ◾️

 これが中間値の定理の証明になります。
a,bの大小関係が逆の場合も同じように示せます。


ちなみに、数学ではa=bを示すのにa≦bかつa≧bを示すことがよくあります。これを知っておくと便利です。

 

 

 今回の話題、中間値の定理はどうだったでしょうか?
なかなかに理解しづらい話だったと思います。図なども載せていますので、合わせて見てもらい、少しでも理解してもらえていれば、と思います。
(図が汚いのは許してください…)
 次回は、知っておきたい関数の極限の公式のようなものをいくつか紹介する予定ですので、関数の極限について頑張ってわかることを増やしていきましょう。

また次回!!!