kaninome’s diary

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極限のまとめ(問題1)

 こんにちは!蟹の目です。
これまで、数列や関数の極限についていろいろやってきましたが、今回からそれの集大成としてこれまでより少し難しい問題を解いていこうと思います。極限がわかっているかの確かめだと思って解いてみて下さい。

 

今回の問題

  1. n√n=1を示せ
  2. 上に有界な集合Sに対してl=supSとすると
    an∈S(n=1,2,…)で
    an→l (n→∞)となる数列{an}が存在することを示せ

 

 

 

1. n√n=1を示せ

 n√n>1であるから (∵n>1n)
n√n=1+αとすると (0<α)
n=(1+α)n
  ≧1+{n(n-1)/2}α2 (∵二項定理)
 よって (n≠1であるから)
2/n≧α2→0 (n→∞)
すなわちα→0 (n→∞)

 以上より
n√n=1+α→1+0=1 (n→∞) ◾️

 

 

 

2. 上に有界な集合Sに対してl=supSとすると
 an∈S(n=1,2,…)で
 an→l (n→∞)となる数列{an}が存在することを示せ

 (k,l)⊂Sとなる実数kを考える
このとき、数列{l-1/n}について
k<l-1/n<lとなるような数列{l-1/n}の部分列が存在する

 その数列を{a'n}とする
l-1/n<a'n<l
はさみうちの定理から
S∋a'n→l (n→∞)となり問題の条件を満たす数列の存在を示す ◾️

 

 

 今まで部分列をしっかり取り扱ってないので、部分列について少し記したいと思います。

 部分列とは何か

 数列{an}の部分列とは、数列{an}から無限個の項を取り出し、その中からいくつかを数列の順番を変えずに並べたもののことです。

 例えば、an=nという数列{an}があったとき
6,28,496,8128,…となる数列はanの部分列です。
2,6,4,5,7,…となる数列はanの通りの順番ではないためanの部分列ではありません。

収束する数列の部分列

 αに収束する数列{an}とその部分列である数列{bn}を考える
anの収束から
ε>0, n0[n≧n0⇒|an-α|<ε]
an0よりも後の項で、初めて数列{bn}に現れる項をbn1であるとすると

 n≧n1のとき
|bn-α|<ε

 以上から
ε>0, n1[n≧n1⇒|bn-α|<ε]
よってbnもanと同じでαに収束する ◾️

 

 

 今回の問題はどうだったでしょうか?
今まで学んだことをいくつか使わないと解けないような問題になっていますね。
今回の問題の他にも解いておきたい問題がいくつかあるので、そちらも今後解いていきたいと思います。
 (今回解いた問題はサイエンス社の「微分積分概論[新訂版]」に載っているものになります)

また次回!!!