三角不等式と二項定理
こんにちは!蟹の目です。
これまで実数の性質についてやってきましたが、今回は少し話題を変えて、大学数学でも度々使われる覚えておきたい式について書いていこうと思います。
今回の話題
- 三角不等式
- 二項定理
|x+y|≦|x|+|y|
|x+y|≧0, |x|+|y|≧0は明らかですね
両辺をそれぞれ二乗して差を比べます
(|x|+|y|)2-|x+y|2
=(x2+2|xy|+y2)-(x2+2xy+y2)
=2(|xy|-xy)
|xy|≧xyは明らかに成り立ちますよね
よって2(|xy|-xy)≧0であり
|x+y|≦|x|+|y|が成り立ちます ◾️
||x|-|y||≦|x-y|
上で示した|x+y|≦|x|+|y|を使います
|(x-y)+y|≦|x-y|+|y|は成り立ちますね
|x|≦|x-y|+|y|ということです
よって
|x|-|y|≦|x-y|••①
左辺の絶対値を確認するためにxとyを入れ替えた場合も確認します
|x+(y-x)|≦|x|+|y-x|
すなわち
|y|≦|x|+|y-x|
よって
|y|-|x|≦|y-x|=|x-y|••②
①,➁から
||x|-|y||≦|x-y|が成り立ちます ◾️
(1+h)n≧1+nh
みなさん二項定理については覚えていますか?
(a+b)n=nC0an+nC1an-1b+…+nCran-rbr+…+nCnbn
これです書けるようになっているとよいと思います。
コンビネーションや二項定理については詳しく説明しませんが、これを使って式を示していきましょう。
h>0, n∈Nである
(1+h)n=1+nh+nC2h2+…+hn
(∵二項定理使用)
nもhも当然正の数であるから
(1+h)n≧1+nhは明らかに成り立つ ◾️
(ちなみに、この不等式は、ベルヌーイの不等式というらしいですよ。
名前なんてどうでもいいですよね…)
n√(1+h)≦1+h/n
h>0, n∈Nである
1+h≦(1+h/n)nを示せばよい
上で示した式を用いると、
(1+h/n)n≧1+(h/n)*n=1+h ◾️
今回は三角不等式と二項定理について問題を解きました。
今後の証明でも使われる式なので、是非使えるようになりましょう。