実数の性質(問題)
こんにちは!蟹の目です。
前の記事
大学数学入門(実数の連続性) - kaninome’s diary
にて実数の連続性についての定義などを述べましたので、
今回は問題を実際に解きながら、上限や下限について理解を深めてもらえたらと思います。
今回の問題
- S={1-1/n;n∈N}とすると、
infS=minS=0でsupS=1だがmaxSは存在しないことを示せ - Sが上に有界であるとき、
Sに最大値が存在するための必要十分条件は
supS∈Sであることを示せ
示せばかりですがやっていきましょう!!
S={1-1/n;n∈N}とすると、
infS=minS=0でsupS=1だがmaxSは存在しないことを示せ
an=1-1/n(n∈N)とかく
a1=0, a2=1/2, a3=2/3, …となる
minS=0について
a1=0∈Sであり
n≧1から1≧1/nであるから
an=1-1/n≧0(n∈N)
よってminS=0
maxSは存在しないについて
「Sに含まれるどの数よりも大きな数がSの中に存在する」••♫
をいえばよい
an0(∈S)を任意にとると
an0=1-1/n0<1-1/(n0+1)=an0+1(∈S)
よって♫がいえる
ゆえにmaxSは存在しない
supS=1について
まず、上限の定義から
supS=(Sの上界の最小値)••①
an=1-1/n≦1(∈N)は
「1がSの上界である」••②を意味する
次に、
「1より小さな数はSの上界ではない」••③
を示したい
そこで、0<ε<1である任意の正の数εをとる
このとき1<εn0を満たすn0∈Nをとると
1/n0<ε
-ε<-1/n0
1-ε<1-1/n0=an0(∈S)
これは
「1-εがSの上界でない」を示している
よって、これは③を意味する
①,②,③から
supS=1
infS=0について
前回も記したが、Sに最小数がある場合、明らかにその値とSの下限の値は等しいので、
infS=minS=0 ◾️
Sが上に有界であるとき、
Sに最大値が存在するための必要十分条件は
supS∈Sであることを示せ
φ≠S(⊂R)とする
このとき、
maxSが存在⇔supS∈Sであり
(一方が成り立つときmaxS=supS)を示す
(十分条件)
a=maxSとおくと最大値の定義から
a∈S••①かつ
「すべてのx(∈S)に対してx≦a」••➁である
②から
「aはSの上界である」••③
一方、①から
「aより小さな数はSの上界ではあり得ない」••④
③,④から
a(∈S)=(Sの上界の最小値)=supS••⑤
(必要条件)
supS=aとおくと仮定から
a∈S••⑥
しかも、上限の定義からaはSの上界
すなわち
「すべてのx(∈S)に対してx≦a」••⑦
⑥,⑦は
a(∈S)=(Sの最大値)=maxS••⑧を示し
Sの最大値は存在する
(一方が成り立つときmaxS=supS)
⑤,⑧から成立する ◾️
今回は上限や下限に関する問題を2問解きました。
否定のしようのない証明を書くのは大変ですよね…
これから、たくさんの式や定理を示すことになるので、一緒に頑張りましょう!