kaninome’s diary

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大学数学入門(実数の連続性)

 こんにちは!某理学系大学に通っている数学生、蟹の目です。
 数学をしっかり勉強されていない方や、数学IA・II Bまでしか勉強していない文系の方でも理解できるように、大学数学について解説していきたいと思います。

せっかく大学に受かったのに数学の単位がもらえない…
数学のせいで進級できない…

そんな方のために大学数学の初めから順番に書いていこうと思います。

 私自身、大学で数学を学ぶ身ですので、みなさんと一緒に理解していけたらいいな、と思っています。
 あくまでも、私が教わったことについて書くので、みなさんと考えや解法が違った場合は、みなさんが教わったものを活用ください。

 

前置きが長くなりましたが、やっと数学の話に入れます。(お待たせしました^_^)

 

 大学の数学は高校までの数学とは異なり、値を出したりはほとんどしません。
やるのはもっぱら"示せ!"です。つまりは、証明してナンボと言うわけです。
 では早速、大学数学に入っていきましょう!!

目次

  1. 実数の性質
  2. 有界とは
  3. 実数の連続性

実数の性質

 大学数学では、ほとんどの方が初めに微分積分を学ぶと思います。まずは、その舞台となる実数の集合から始めます。

そもそも実数って何だっけ?

 みなさんが普段何気なく使っている実数、それがどんな数であるのかわかっていますか?まず、実数の性質についていくつかあげてみます。

  • 四則演算が出来る
    つまり、2つ以上の実数は足したり、引いたり、掛けたり出来るわけです。
    普段からみなさんが当たり前のようにやっているやつです。
    例:1+1=2, 2*3=6 など
  • 大小関係がある
    2つの実数があったら、それが同じ数でない限りどちらか一方がもう一方よりも大きい値になっています。(虚数にはない性質ですよね)
    例:1<2,  √2>-√5 など
  • 連続性がある
    急に知らない言葉が出てきました…
    この連続性が微分積分学において本質的な部分となっています。

 

有界とは

 次に、実数の連続性について述べる前に集合の有界について説明します。

みなさんが高校生の時に習ったであろう(習った理由もいまいちわかっていない)集合が大学数学では大事になります。
 これから、実数全体の集合を大文字のR,自然数全体の集合を大文字のNで表します。
(他にも有理数全体の集合を表す文字なんかもありますが、ここでは割愛します。)

上界と下界

S⊆R(SはRの部分集合)である集合Sを考えます。

  • Sが上に有界
    ⇔ある実数Mに対して「すべてのx∈S(xはSの要素)に対してx≦M」が成り立つ
    このときのMをSの上界といいます。
  • Sが下に有界
    ⇔ある実数Mに対して「すべてのx∈S(xはSの要素)に対してx≧M」が成り立つ

    このときのMをSの下界といいます。

つまり、S={x∈R;1≦x≦2}であるときSは上に有界であり、下にも有界である(このとき、Sは単に有界であるという)。そして、
A={x∈R;2≦x}はSの上界全体の集合であり
B={x∈R;x≦1}はSの下界全体の集合となります。

上限と下限

ここで、上限と下限というものを考えます。

  • Sの上限
    ⇔Sの上界のうち、最小のもの(supSと表す(supremumの略))
    Sに上階がないときはsupS=+∞と書く
  • Sの下限
    ⇔Sの下界のうち、最大のもの(infSと表す (infimumの略))
    Sに下限がないときはinfS=-∞と書く

 ちなみに、Sの最大値をmaxS(maximumの略)、Sの最小値をminS(minimumの略)とよく表します。
 最大値がある場合は上限が、最小値がある場合は下限がお互いに等しくなることがわかるでしょうか。(maxS=supS, minS=infS)

 上の例S={x∈R;1≦x≦2}のとき
supS=2, infS=1, maxS=2, minS=1となります。
 また、S={x∈R;1<x<2}のとき
supS=2, infS=1, maxSとminSは存在しません。

 

実数の連続性

 ここまで実数の性質や有界について考えてきましたが、これらを踏まえて実数の連続性について次のように定めます。

  • 上に有界である集合には必ず上限が存在する
  • 下に有界である集合には必ず下限が存在する

ここで、数直線上に実数でない点があったときのことを考えてみましょう。

 T={x∈R;a≦x<b}である集合Tについて考えます。
 aはいうまでもなく、bも何かしらの数であるから、集合Tは有界です。そこで、上限について考えてみましょう。
 Tの上界全体の集合T'={x∈R;b<x}である。ではこのときのT'の最小値、すなわちTの上限はどうなるでしょうか。

 このとき、T'には最小値が存在しないことがわかりますか。
T'に最小値が存在しないということはTに上限がないということです。

 つまり、どんな実数の集合においても"上に有界であれば上限が、下に有界であれば下限が存在する"が成り立つとき、実数の間には実数以外の数は存在せず、これが実数の連続性を示すのです。

 

 今回は実数の連続性についてまでで終わりにします。次からは実際に問題も解いていきたいと思います。
((また、この記事では出来るだけ多くの人に理解してもらうために本来の定義などからいくらか簡略化して説明しているところがあります。あくまでも、参考程度だという認識でいてください。)

また次回!!!