kaninome’s diary

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関数の極限

 こんにちは!蟹の目です。
今回から関数の極限について書いていこうと思います。
 数列のときと同じく、数学的に関数の極限について示していきたいと思います。
関数の極限は数列の極限と似ている部分があるので、数列の極限を理解した方なら問題ないと思います。

 

今回の話題

  1. 関数の極限値の定義
  2. 片側極限
  3. 関数の発散

 

 

 

1.関数の極限の定義

 みなさん、高校のときに関数の極限をどう学びましたか?
数列のときと同様、
関数f(x)がx=aで極限値lをとるとは、xが限りなくaに近づくとき、f(x)が限りなくlに近づくと習ったと思います。
 やはり、この限りなくというのは大学数学ではふさわしくありません。そこで、ここでは数列のときに使ったε-N論法によく似た
 ε-δ論法を使います。(δはデルタと読みます。)

 

まず、定義から示していきましょう!
f(x)のx=aにおける極限値がlとは

 ε>0に対して、δ>0が存在して次が成り立つ
 0<|x-a|<δとなるすべてのxに対して|f(x)-l|<ε

数学記号だけで次のようにも表します。
ε>0, δ>0; ∀x∈R[0<|x-a|<δ⇒|f(x)-l|<ε]

 これを一目見てもなんのことかわからないでしょう。
これはlとの差が任意の正の数εより小さくなるf(x)を満たすxとaの距離の差がδより小さくなるようなδが存在すれば良い、という意味です。

今回は図を使って関数の極限値を見ていきたいと思います。

このような関数f(x)について考えます

このようにεをとります

 εは任意の正の数なので限りなく0に近いとても小さな数もとり得ます。
εがどんなに小さくてもxの値がaに近い場所でδが存在するときf(x)がx=aでlに収束するのです。
 εを小さくすれば、上の図ではδも小さくなりますが、ε≠0であるからδはaの近くに必ず存在しますよね。これがf(x)のx=aでの極限値がlであることを定義しているのです。
 このとき、極限値がf(a)でないことに注意してください。もちろん、f(a)が極限値になることもありますが、それは別の機会に書きます。
今回の場合は、極限値をf(a)とするとεを小さくとったときに、aの近くにδが存在しませんよね。
 極限値はあくまでもどの地点に近づくかを考えるものであってx=aでの極限を考えるからといってf(a)の値そのものには一切関係ないのです。
つまり、x=aが定義されていなくても良いのです。

 

 

2. 片側極限

 xをaに右から(値の大きいほうから)近づけたとき、f(x)が限りなくlに近づくとき、f(x)のx=aにおける極限値はlであるという。
f(x)→l (x→a+0)で表す。 a=0のときは単に(x→+0)と表す。

 逆に、aに左から(値の小さいほうから)近づけたとき、f(x)が限りなくlに近づくとき、f(x)のx=aにおける極限値はlであるという。
f(x)→l (x→a-0)で表す。 a=0のときは単に(x→-0)と表す。

 

 

3. 関数の発散

 関数の発散も数列の発散と似ています。
M>0, δ>0; x∈R[0<|x-a|<δ⇒f(x)>M]
これがf(x)がx=aで正の無限大に発散することの定義になります。

 つまり、0<|x-a|<δとなるすべてのxに対してf(x)>Mが成り立つようなδがあるとき、その関数f(x)はx=aで正の無限大に発散するといいます。
f(x)→∞ (x→a)

 逆に、M>0, δ>0; x∈R[0<|x-a|<δ⇒f(x)<-M]
が成り立つとき、関数f(x)はx=aで負の無限大に発散するという。
f(x)→-∞ (x→a)

 

 

 関数の極限はどうでしょうか?
数列のときと同じようなことを言っているのに、δが出てきて何を言っているのかわかりにくくなったことと思います。
残念ながら、今後関数の極限を考えるときはこのε-δ論法を使っていきます。

数列のときのn0がδに変わったような感じですので、なんとか一緒にここを乗り越えていきましょう。次回からは関数の極限の性質や定理を示していきますので、問題によって慣れていきましょう。

また次回!!!