kaninome’s diary

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数列の極限(問題)

 こんにちは!蟹の目です。
今回は今まで示したことを踏まえた上で、問題をいくつか解いていきたいと思います。
今回の問題も例によって示せ中心になっていますので、頑張っていきましょう。

 

今回の問題

  1. a>0のときn√a→1(n→∞)を示せ

  2. a>0のときan/n!→0(n→∞)を示せ

  3. {(1+1/n)n}が収束することを示せ

 

1. a>0のときn√a→1(n→∞)を示せ

(ⅰ)a>1のとき
 a=1+h, h>0とおくと
 1<n√a=n√(1+h)≦1+h/n (∵二項定理)
(1+h/n)→1 (n→∞)であるからはさみうちの定理より
n√a→1(n→∞)

(ⅱ)a=1のとき
 n√1=1から
n√a→1(n→∞)は明らか

(ⅲ)0<a<1のとき
 b=1/aとおくと
b>1であるから(ⅰ)から
n√a=1/n√b→1 (n→∞) ◾️

 

2. a>0のときan/n!→0(n→∞)を示せ

(ⅰ)0<a≦1のとき
 0<an/n!≦1/n!となり
1/n!→0(n→∞)であるから、はさみうちの定理より
an/n!→0(n→∞)

(ⅱ)a>1のとき
 m≦a<m+1である自然数mをとり、r=a/(m+1) (<1)とおく
また!=am/m!=Mとおくと

 n≧m+1のとき
   an/n!
=(a*a*…*a*a*…*a)/{n*(n-1)*…*(m+1)*m*…*1}
=[(a*a*…*a)/{n*(n-1)*…*(m+1)] * [(a*a*…*a)/{m*(m-1)*…*1}]
≦Mrn-m→0(n→∞)
0≦an/n!は明らかなので、はさみうちの定理から
 an/n!→0 (n→∞) ◾️

 

 

3. {(1+1/n)n}が収束することを示せ

 an=(1+1/n)nとすると二項定理より
 an
=1+n(1/n)+{nC2*(1/n)2}+…+nCn*(1/n)n
=1+n(1/n)+{n(n-1)/2!*n2}+…+n!/n!*(1/n)n
=1+n(1/n)+{n(n-1)/2!*n2}+…+(1/n!)(n/n){(n-1)/n}…(2/n)(1/n)
=1+1+(1-1/n)/2+…+(1/n!)(1-1/n)(1-2/n)…{1-(n-1)/n}
≦1+1+(1/2){1-1/(n+1)}+(1/n!){1-1/(n+1)}{1-2/(n+1)}…{1-(n-1)/(n+1)}
   +{1/(n+1)!}{1-1/(n+1)}{1-2/(n+1)}…{1-n/(n+1)}
=an+1

よって数列{an}は増加数列である

 一方、
0<an
 ≦1+1+1/2+…+1/2n-1 (∵1/n!≦1/2n-1)
 =1+{1-(1/2)n}/(1-1/2) (∵等比数列の和)
 <3

 これは数列{an}が上に有界であることを意味する
以前示した通り上に有界である増加数列は収束するので、
{(1+1/n)n}は収束する ◾️

 余談ですが、この(1+1/n)n→e (n→∞)とeが定義され、このeはネイピア数と呼ばれています(自然対数の底にもなっていますね)。上の証明から2<e<3であることがわかりますね。
今後学ぶであろうテイラーの定理によってeが無理数であること、eの近似値が計算できます。(e=2.718281828…)
 詳しくはここでは紹介しませんが、eというものがあることは覚えておくと良いと思います。

 

 

 今回の問題はどうだったでしょうか?
記号や文字ばっかりで分かりにくい場合は紙などに書いてみてください。
難しい数式が書かれていないことがわかると思います(^^)。

また、今回、二項定理やはさみうちの定理を使用しましたね、今後もこういった定理を問題ないで使用しますので、そちらも理解するようがんばりましょう!

また次回!!!

(追記5月10日:3問目の解答で、増加数列であることを示す過程での式の変形を省略したことで分かりにくくなっていた部分を詳細部分を増やし、分かりやすくなるよう途中家庭を追加しました。)