kaninome’s diary

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逆関数の微分法

 こんにちは!蟹の目です。
今回は逆関数微分法について書いていこうと思います。逆関数微分できるようになると、逆三角関数など、微分を扱える関数が増えるので、使いこなせるようになっちゃいましょう。

 

今回の話題

  1. 逆関数の微分法
  2. 逆三角関数の微分
  3. 三角関数の微分

 

 

1. 逆関数微分

 関数y=f(x)が区間Iで狭義の単調関数で微分可能であるとする。
Iでf'(x)≠0であるなら逆関数x=f-1(y)は区間J=f(I)(f(x)の値域)で微分可能
dx/dy=1/(dy/dx) で表せる。

  本来、dx,dyというのは分数のように扱えない記号なのですが、逆関数が定義される今回のようなときにはまるで分数のように計算ができてしまうということです。

 実際に示してみましょう!

 

 f(x)は区間Iで狭義の単調関数かつ微分可能、すなわち連続なので、逆関数が存在しますね。(x=f-1(y))

 x1をI内の任意の点としてy1=f(x1)とする
x1=f-1(y1)

 ここで
{f-1(y)-f-1(y1)}/(y-y1) (y→y1)=(x-x1)/{f(x)-f(x1)} (x→x1)
                →1/f'(x1) (x→x1)
                      =1/f'(f-1(y1))

 x1区間I内の任意の点だから区間I内の全てのxで同じ式が成り立つ
よって{f-1(y)}'=1/f'(x)=1/f'(f-1(y)) ◾️

 

 上で最後に出した式は dx/dy=1/(dy/dx)を示しているのですが、正直文字だけだと何を言っているのかわかりにくいところがあります。
なので具体例を挙げて確認してみましょう。

 

 

2. 逆三角関数微分

 以前記事にも書いた逆三角関数を覚えていますか?
あれは三角関数逆関数なので、上でいった方法で微分することが可能です。今回はすべて主値(0を含むような定義域の取り方)のもと逆三角関数微分してみましょう。

 

 sin-1x=y (-1<x<1)とおくと
x=siny (-π/2<y<π/2)

dsin-1x/dx=1/(siny)'
      =1/cosy
      =1/√(1-sin2y) (∵cosy>0)
      =1/√(1-x2) ◾️

 cos-1x=y (-1<x<1)とおくと
x=cosy (0<y<π)
dcos-1x/dx=1/(cosy)'
     =1/-siny
     =-1/√(1-cos2y) (∵siny>0)
     =-1/√(1-x2) ◾️

 

 tan-1x=y (-π/2<x<π/2)とおくと
x=tany (-∞<y<∞)
dtan-1x/dx=1/(tany)'
       =cos2y
       =1/(1+tan2y)
       =1/(1+x2) ◾️

 

 

3. 三角関数微分

 先ほど当然のように三角関数微分した結果を使っていますが、三角関数微分を知らない方のために一応三角関数微分も示しておきたいと思います。

 

 (sinx)'={sin(x+h)-sin(x)}/h (h→0)
      =2[cos{(2x+h)/2}sin(h/2)]/h (h→0)
      =cos(x+h/2)sin(h/2)/(h/2) (h→0)
      =cosx ◾️

 

 (cosx)'={cos(x+h)-cos(x)}/h (h→0)
                =-2[sin{(2x+h)/2}sin(h/2)]/h (h→0)
                =-sin(x+h/2)sin(h/2)/(h/2) (h→0)
                =-sinx ◾️

 

 (tanx)'=(sinx/cosx)'
               ={(sinx)'cosx-sinx(cosx)'}/cos2x (∵導関数の基本性質)
               =(cos2x+sin2x)/cos2x
               =1/cos2x ◾️

 これで三角関数および、逆三角関数微分することが出来るようになりましたね。
今後、微分をしたり、積分をするときに必要になってくるのでしっかり使えるようになりましょう。

 逆関数微分は式を覚えるよりも、実際に用いているうちに使いこなせるようになっていくと思いますので、今は逆三角関数微分の結果だけでも覚えてもらえたらと思います。

また次回!!!

導関数の基本性質

 こんにちは!蟹の目です。
今回は導関数の基本性質ともよべる式をいくつか示したいと思います。
導関数の定義については前回の記事に記してあるので怪しい方はそちらもご確認ください。微分法の定義 - kaninome’s diary

 

 

今回の話題

f(x),g(x)がともに区間Iで微分可能であるとする

  1. {f(x)+g(x)}'=f'(x)+g'(x)
  2. {kf(x)}'=kf'(x)
  3. {f(x)g(x)}'=f'(x)g(x)+f(x)g'(x)
  4. {f(x)/g(x)}'={f'(x)g(x)-f(x)g'(x)}/g(x)2 (g(x)≠0)
  5. 特に{1/g(x)}'=-g'(x)/g(x)2 (g(x)≠0)

 

 

1. {f(x)+g(x)}'=f'(x)+g'(x)

 仮定から
{f(x+h)-f(x)}/h→f'(x) (h→0)
{g(x+h)-g(x)}/h→g'(x) (h→0)

 (1/h)[{f(x+h)+g(x+h)}-{f(x)+g(x)}]
=(1/h)[{f(x+h)-f(x)}+{g(x+h)-g(x)]
= {f(x+h)-f(x)}/h+ {g(x+h)-g(x)}/h
f'(x)+g'(x) (h→0) ◾️

 

 

2. {kf(x)}'=kf'(x)

 (1/h){kf(x+h)-kf(x)}
=k*{f(x+h)-f(x)}/h
kf'(x) (h→0) ◾️

 

 

3. {f(x)g(x)}'=f'(x)g(x)+f(x)g'(x)

 (1/h){f(x+h)g(x+h)-f(x)g(x)}
=(1/h){f(x+h)g(x+h)-f(x)g(x+h)+f(x)g(x+h)-f(x)g(x)}
=(1/h){f(x+h)-f(x)}g(x+h)+(1/h){g(x+h)-g(x)}f(x)
f'(x)g(x)+f(x)g'(x) (h→0) ◾️

 

 

4. {f(x)/g(x)}'={f'(x)g(x)-f(x)g'(x)}/g(x)2 (g(x)≠0)

これを示すためにまず

5. {1/g(x)}'=-g'(x)/g(x)2 (g(x)≠0)

を示す
 (1/h)[{1/g(x+h)}-{1/g(x)}]
=[{g(x)-g(x+h)}/h]*{1/g(x+h)g(x)}
-g'(x)/g(x)2 (h→0) ◾️ (∵関数g(x)は微分可能なので連続で、g(x+h)→g(x) (h→0))

 もうわかりますね
3,5から
{f(x)/g(x)}'={f'(x)g(x)-f(x)g'(x)}/g(x)2  ◾️

 

 

 今回の話はどうだったでしょうか?
微分する上で当たり前のように使う定理なので、是非使いこなせるようになりましょう。今後、もっと難しい定理も出てくるのでしっかり理解していきましょう。

また次回!!!

 

 

微分法の定義

 こんにちは!蟹の目です。
今回から微分法に入っていこうと思います。
みなさんは数学IIで既に微分については学んでいると思います。極限と異なり数学IIのままの定義で問題ありません。

 

微分の定義

 関数f(x)のx=aで微分可能とは
{f(a+h)-f(a)}/h (h→0)または{f(x)-f(a)}/(x-a) (x→a)
が存在するときの事をいいます。

 関数y=f(x)において点(a,f(a)),(a+h,f(a+h))を考える
{f(a+h)-f(a)}/{(a+h)-a}をこの2点の平均変化率といい、
h→0のときの平均変化率をx=aにおける微分係数といい、f'(a)で表します。

 x=aで微分可能であるとき点(a,f(a))を通り、傾きがf'(x)である直線
y-f(a)=f'(a)(x-a)は点(a,f(a))におけるy=f(x)の接線になります。

 {f(a+h)-f(a)}/h=f'(a)+ε(h)とおくと
f(a+h)-f(a)=hf'(a)+hε(h)
hε(h)→0 (h→0) であり
ε(h)→0 (h→0)であるからhε(h)/h→0 (h→0)
これはhε(h)がhよりも急速に0に近づく、すなわちh→0のときに
f(a+h)-f(a)=hf'(a)+hε(h)においてhε(h)が他の項に比べて非常に小さい値をとる。
これはf(a+h)≒f(a)+hf'(a)と表せ、a+h=xとおくと
f(x)≒f(a)+(x-a)f'(a)となり、直線の方程式で近似されます。(接線)

 

 極限のときに右側極限と左側極限があったのを覚えていますか?
微分の定義に極限が含まれていることから微分微分が考えられます。
それぞれの名称は微分なんたらの頭に右なり左なりを付けるだけです。
x=aにおける右微分係数f'+(a),左微分係数f'-(a)と表します。
当然f(x)がx=aで微分可能である必要十分条件f'+(a)=f'-(a)になります。

 

導関数

 関数f(x)が区間Iのすべての点で微分可能であるとき、f(x)は区間Iで微分可能であるといい、f(x)の微分係数f'(x)は区間I内でxを定めると値がただ1つに定まるので、
f'(x)はxの関数とみることが出来ます。
こうして得られた関数がみなさんご存知の導関数です。
 導関数の表し方はいくつもあります。みなさんのお好きな表記を使っていただければと思います。
また、導関数を求めることを微分するといったりします。

 

定理 関数f(x)がx=aで微分可能ならば、f(x)はx=αで連続である

 f(x)がx=aで微分可能であるとする
f(a+h)-f(a)=({f(a+h)-f(a)}/h)*h
       →f'(a)*0=0 (h→0)
x=a+hとおくと
f(x)→f(a) (x→a)となり、f(x)はx=aで連続であることが示される
 ちなみにこれの逆の、連続ならば微分可能は必ずしも成り立ちません
例えばf(x)=|x|なんかがそうです。

 実際に確認してみましょう。
f(x)=|x|を考えます
まず、x=0でf(x)が連続かを確かめる
|x|→0 (x→+0), |x|→0 (x→-0)であるから
f(x)→0 (x→0)=f(0)

これはf(x)がx=0で連続である事を示す

次に、x=0でf(x)が微分可能かを確かめる

{f(0+h)-f(0)}/h=f(h)/h
        →|h|/h=1 (h→+0)
{f(0+h)-f(0)}/h→|h|/h=-1 (h→-0)

これは{f(0+h)-f(0)}/h (h→0)が存在せず
f(x)がx=0で微分可能でない事を示す ◾️

 

 

 今回の話はどうだったでしょうか?
数学II微分を習った皆さんにとっては元から知っている内容だったかと思います。
微分の定義に含まれる極限はε-δ論法で示した定義になっていますので、そこだけ注意しておいてください。微分は定理や法則がいくつもありますので、一緒に頑張っていきましょう。

また次回!!!

コーシー列

 こんにちは!蟹の目です。
これまで数列や関数の極限についていろいろ書いてきましたが、今回はコーシー列というものについて紹介したいと思います。
このコーシー列は極限を議論することについて結構便利なものになっていますので、ぜひ覚えてもらえたらと思います。

 

今回の話題

  1. 収束する数列はコーシー列
  2. 区間縮小法
  3. ボルツァーノワイエルシュトラスの定理
  4. コーシー列は収束する
  5. コーシー列に関する問題

 

 

 

 そもそもコーシー列とはなんでしょうか?
|am-an|→0 (n,m→∞)を満たす数列{an}をコーシー列といいます。
(n'[n,m≧n'⇒|am-an|<εなどと書く場合もあります)
nとmを限りなく大きくしたときに数列のn番目とm番目の差が0に限りなく近づくような数列というわけです。

 なぜこのコーシー列が便利かというと、数列がコーシー列であるとき、極限値がわからなくても数列が収束することがわかるのです。
 (ε-N論法では極限値が式に入っていますね)
 収束する数列⇔コーシー列を示していきたいと思います。

1. 収束する数列はコーシー列

 前置きが長くなりましたが実際に示していきます。

aに収束する数列{an}について考えます
定義からε>0, n0∈N[n≧n0⇒|an-a|<ε/2]です

 n,m≧n0のとき
|am-an|=|(am-a)+(a-an)|
     ≦|am-a|+|an-a| (∵三角不等式)
     <ε/2+ε/2=ε
よって収束する数列はコーシー列です ◾️

 

 

 

2. 区間縮小法

 さっさとコーシー列なら収束することを示したいのですが、それを示すためにいくつか別のものを示す必要があります。まずはそのうちの1つ、区間縮小法を示したいと思います。

 区間縮小法とは
有界区間I1⊇I2⊇…In⊇In+1⊇…となるとき
すべての区間に共通して含まれる実数が存在し、
In=[an,bn]とすると(bn-an)→0 (n→∞)⇒共通部分が1つの実数に決まる
ことです。

 実際に示していきたいところですが、実は以前解いた問題で示しています。

極限のまとめ(問題2) - kaninome’s diary
こちらの2問目で示しているのが区間縮小法になります。

 

 

 

3. ボルツァーノワイエルシュトラスの定理

 次は名前の長いボルツァーノワイエルシュトラスの定理について示したいと思います
この定理は、有界な数列{an}は収束する部分列{bn}が存在することです。

 この定理の証明に区間縮小法を用います。
まず、有界区間I0∋anとなる数列{an}について考えます
I0=[a0',b0']とする
このI0を半分に分け、数列の項が無限に存在する方区間をI1とする。
 (数列は項が無限個存在するため、半分に分けた少なくとも一方には項が無限個放っている。)
I0⊇I1=[a1',b1']であるとする
I1をさらに半分に分け、数列の項が無限個存在する方をI2とし、
I2=[a2',b2']とする

この操作をn回繰り返したときの区間をInとすると
I0⊇I1⊇I2⊇…⊇In=[an',bn']であるとする
このとき、区間縮小法から分かる通り、
数列{an'}は単調増加、数列{bn'}は単調減少数列になり、それぞれある実数αに収束する
またa0'≦a1'≦a2'≦…≦an'≦α≦bn'≦…≦b2'≦b1'≦b0'である

 ここで区間から数列の項を1つずつとっていく
(I1∋an1,I2∋an2,…,In∋ann,…)
an1≦an2≦…≦ann≦…≦αとなる数列{an}の部分列{ank}が存在する
この部分列{ank}は上に有界な増加数列であるから収束する

以上より、元の命題有界な数列{an}は収束する部分列{bn}が存在するが示せた ◾️

 

 

 

4. コーシー列は収束する

 上で長々と定理を示してきましたが、全てはコーシー列が収束することを示すのに必要な道具になります。それでは実際に示していきましょう。

 コーシー列である数列{an}について考える
n'[n,m≧n'⇒|am-an|<ε/2 ]であるから
-ε/2+am<an<ε/2+amであり、
M=max{a1,a2,…,an'-1,an'+ε/2}
m=min{a1,a2,…,an'-1,an'-ε/2}とおくと
m≦an≦Mとなり、数列{an}が有界であることがわかる

 ここでボルツァーノワイエルシュトラスの定理から
数列{an}には収束する部分列{ank}が存在する

 ank→α (nn→∞)とすると
ε>0 nn0[nk≧nn0⇒|ank-α|<ε/2である

 n→∞ (nk→∞)のとき
|an-α|=|(an-ank)+(ank-α)|
    ≦|an-ank|+|ank-α| 
    <ε/2+ε/2=ε  (∵コーシー列であることと部分列の収束)

これは数列{an}が収束することを示す ◾️

 これで収束する数列⇔コーシー列が示せましたね
これが実数範囲で常に成り立つことを実数の完備性といいます
(実数の完備性は実数の連続性としてこれまでも扱ってました
詳しくは別の機会に…)

 

 

 

5. 問題

 最後にコーシー列に関する問題を1つ紹介したいと思います。

数列{an}に対して定数c(0<c<1)が存在して
すべてのnで|an+2-an+1|≦c|an+1-an|
が成り立つなら数列{an}は収束することを示せ

 すべてのnに対して不等式は成り立つので
|ak+1-ak|≦ck-1|a2-a1|
cn→0 (n→∞)であるから
0≦|ak+1-ak|≦ck-1|a2-a1|→0
このことから数列{an}がコーシー列であることがわかる

 よって与えられた数列{an}は収束する ◾️

 

 

 コーシー列についてわかったでしょうか?
これにて極限の範囲を終了したいと思います。
次回から微分の範囲に入りますのでそっちも頑張りましょう。
(極限の範囲も随時質問等受け付けてますのでよろしければ…)

また次回!!!

極限のまとめ(問題2)

 こんにちは!蟹の目です。
今回は前回に引き続き極限のまとめとして問題をいくつか解いていきたいと思います。
記述できるように理解しちゃってください。

 

 

今回の問題

  1. a>0とするx1>√aとして
    xn+1=(xn+a/xn)/2 (n=1,2,…)とする
    数列{xn}は収束し、極限値が√aであることを示せ
  2. [a1,b1]⊇[a2,b2]⊇…⊇[an,bn]⊇…において
    数列{an},{bn}が収束することを示し、
    (bn-an)→0 (n→∞)⇒an=bn (n→∞)であることを示せ

 

1. a>0とするx1>√aとして
 xn+1=(xn+a/xn)/2 (n=1,2,…)とする
 数列{xn}は収束し、極限値が√aであることを示せ

 xn+1-xn=(xn+a/xn)/2-xn
         =(a-xn2)/2xn
 ここでxn=(xn-1+a/xn-1)/2に対して(xn-1>0,a/xn-1>0)相加平均と相乗平均の関係から
xn≧√a (xn-1=a/xn-1のとき等号は成り立つ)
 よってxn+1-xn≦0すなわちxnは減少数列である
また、0<xnであるからxnは下に有界である
以上のことから数列{xn}は収束する

 これを踏まえて
xn→α (n→∞)とおくと
α=(α+a/α)/2
α2=a (α>0)
α=√a
以上より数列{xn}は√aに収束する ◾️

 

 

 

2. [a1,b1]⊇[a2,b2]⊇…⊇[an,bn]⊇…において
 数列{an},{bn}が収束することを示し、
 (bn-an)→0 (n→∞)⇒an=bn (n→∞)であることを示せ

 区間In=[an,bn]とする
a1≦a2≦…an≦bn≦… b2≦b1
数列{an}は上に有界な単調増加数列であり、
数列{bn}は下に有界な単調減少数列である。

よって数列{an},{bn}はそれぞれ収束する

 また、an→a (n→∞),bn→b (n→∞)とする
an≦a≦b≦bn
 よって
|an-bn|≧|b-a|≧0

 仮定から(bn-an)→0 (n→∞)であるから
はさみうちの定理を用いて
|a-b|=0
すなわちan (n→∞)=bn (n→∞)
 ◾️

 

 

 今回の問題はどうだったでしょうか?しっかり示すとなるとこれまで学んだ知識をしっかり使わなければなりませんね。次回、コーシー列というものを紹介して極限の範囲を終わろうと思います。微積分に入る前に極限を理解しちゃいましょう。
 (今回解いた問題はサイエンス社の「微分積分概論[新訂版]」に載っているものになります)

また次回!!!

極限のまとめ(問題1)

 こんにちは!蟹の目です。
これまで、数列や関数の極限についていろいろやってきましたが、今回からそれの集大成としてこれまでより少し難しい問題を解いていこうと思います。極限がわかっているかの確かめだと思って解いてみて下さい。

 

今回の問題

  1. n√n=1を示せ
  2. 上に有界な集合Sに対してl=supSとすると
    an∈S(n=1,2,…)で
    an→l (n→∞)となる数列{an}が存在することを示せ

 

 

 

1. n√n=1を示せ

 n√n>1であるから (∵n>1n)
n√n=1+αとすると (0<α)
n=(1+α)n
  ≧1+{n(n-1)/2}α2 (∵二項定理)
 よって (n≠1であるから)
2/n≧α2→0 (n→∞)
すなわちα→0 (n→∞)

 以上より
n√n=1+α→1+0=1 (n→∞) ◾️

 

 

 

2. 上に有界な集合Sに対してl=supSとすると
 an∈S(n=1,2,…)で
 an→l (n→∞)となる数列{an}が存在することを示せ

 (k,l)⊂Sとなる実数kを考える
このとき、数列{l-1/n}について
k<l-1/n<lとなるような数列{l-1/n}の部分列が存在する

 その数列を{a'n}とする
l-1/n<a'n<l
はさみうちの定理から
S∋a'n→l (n→∞)となり問題の条件を満たす数列の存在を示す ◾️

 

 

 今まで部分列をしっかり取り扱ってないので、部分列について少し記したいと思います。

 部分列とは何か

 数列{an}の部分列とは、数列{an}から無限個の項を取り出し、その中からいくつかを数列の順番を変えずに並べたもののことです。

 例えば、an=nという数列{an}があったとき
6,28,496,8128,…となる数列はanの部分列です。
2,6,4,5,7,…となる数列はanの通りの順番ではないためanの部分列ではありません。

収束する数列の部分列

 αに収束する数列{an}とその部分列である数列{bn}を考える
anの収束から
ε>0, n0[n≧n0⇒|an-α|<ε]
an0よりも後の項で、初めて数列{bn}に現れる項をbn1であるとすると

 n≧n1のとき
|bn-α|<ε

 以上から
ε>0, n1[n≧n1⇒|bn-α|<ε]
よってbnもanと同じでαに収束する ◾️

 

 

 今回の問題はどうだったでしょうか?
今まで学んだことをいくつか使わないと解けないような問題になっていますね。
今回の問題の他にも解いておきたい問題がいくつかあるので、そちらも今後解いていきたいと思います。
 (今回解いた問題はサイエンス社の「微分積分概論[新訂版]」に載っているものになります)

また次回!!!

逆三角関数(問題)

 こんにちは!蟹の目です。
今回は以前示した逆三角関数の理解をより深めるために、いくつかの問題を解いていこうと思います。問題自体はあまり難しいものではないので、理解するためだと思って見てみてください。一応、前回示した式を記しておきます。

y=sin-1x (-1≦x≦1)⇔x=siny (-π/2≦y≦π/2)
y=cos-1x (-1≦x≦1)⇔x=cosy (0≦y≦π)

y=tan-1x (-∞<x<∞)⇔x=tany (-π/2<y<π/2)

 

今回の問題

  1. sin-1x=cos-1(4/5)となるxを求めよ
  2. sin-1x+cos-1x=π/2を示せ
  3. cos-1x=tan-1√5となるxを求めよ
  4. sin-1(3/5)=tan-1xとなるxを求めよ
  5. tan-1(1/2)+tan-1(1/3)=π/4を示せ

 

 

1. sin-1x=cos-1(4/5)となるxを求めよ

 sin-1x=cos-1(4/5)=yとおくと
sin-1x=yから-π/2≦y≦π/2
cos-1(4/5)=yから0≦y≦π
よって0≦y≦π/2

 また、siny=x, cosy=4/5であるから
x=√{1-(4/5)2}=3/5 ◾️

 

 

 

2. sin-1x+cos-1x=π/2を示せ

 sin-1x=yとおくと (-π/2≦y≦π/2)
siny=xであり、このときcos(π/2-y)=xである
0≦π/2-y≦πであるからcos-1x=π/2-y

 よって
sin-1x+cos-1x=y+(π/2-y)
        =π/2 ◾️

 

 

3. cos-1x=tan-1√5となるxを求めよ

 cos-1x=tan-1√5=yとおくと
cosy=x, tany=√5 (0≦y<π/2)
0<x≦1であるから

1+√52=1/x2
よってx=1/√6 ◾️

 

 

 

4. sin-1(3/5)=tan-1xとなるxを求めよ

 sin-1(3/5)=tan-1x=yとおくと
siny=3/5, tany=x (-π/2<y<π/2)
sinyの値から0<y<π/2がわかる

またcos2y=16/25より
tan2y=(25/16)-1=9/16
すなわちtany=x=3/4 ◾️

 

 

 

5. tan-1(1/2)+tan-1(1/3)=π/4を示せ

 tan-1(1/2)=x, tan-1(1/3)=yとおくと

0<1/2<1かつ0<1/3<1であるから
0<x<π/4, 0<y<π/4

 またtanx=1/2, tany=1/3であるから加法定理を用いて
tan(x+y)=(tanx+tany)/{1-(tanx)(tany)}
      =(1/2+1/3){1-(1/2)*(1/3)}
      =1
よってtan-1(1/2)+tan-1(1/3)=x+y=π/4 ◾️

 

 

 今回の問題はどうだったでしょうか?
解いてみるとそれほど難しくないと思います。問題を解いてみて少しでも逆三角関数に慣れていただければと思います。今後も度々逆三角関数は目にすると思いますので、一緒に理解しちゃいましょう。

また次回!!!